地域と学校との架け橋をめざして学習支援ボランティア活動をおこなっています

学習支援事業の秘訣

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学習支援事業成功の秘訣

学習支援事業成功のための5つのポイントとは

現在、「コミュニティスクール」の全国展開とともに、地域人材の活用をはじめとした学校支援制度が注目を浴び始めています。

しかし、そのためにはいったいどうすれば…と、手が止まってしまうのも事実のようです。
実際、私たちのもとには、学習ボランティアの担い手はたくさんいるのに学校自体が受け入れてくれない、あるいは学校は受け入れ態勢を整えようとしているが、ボランティアの担い手がいない等、さまざまな当事者の不満の声が寄せられています。

学習支援は、受け入れ側の学校・教員、ボランティアの担い手側の保護者・地域住民、そしてその中心に位置する子ども、このそれぞれの当事者を大切にし、バランスをとりながら行われなくては意味がありません。
つまり、この三者をコーディネートする役目が非常に重要なのです。

私たちNPO法人夢育支援ネットワークではこれまでの実践をもとに、学習支援ボランティア制度の成功の秘訣をここにご紹介したいと思います。

   成功のための5つのポイント

  • 学校と地域の意識を変革し、相互の信頼関係を培え
    • 学校側と地域側、それぞれの意識変革はどのように成し遂げられたか
  • 人材を確保し人材ネットワークを構築せよ   
    • 地域の人材をどのようにして夢育のとりくみにまきこんでゆくか
  • 学校と地域・保護者をつなぐコーディネーター役「事務局」を設置しよう   
    • まず、どこから仕組みを整えてゆけばよいか
  • 学習支援活動をするにあたり、コンセプトを明確にせよ   
    • 学習支援活動のためのルールとは
  • 事業を運営・管理するために必要な資金を確保せよ   
    • 経済的な裏付けの必要性

秘訣1  学校と地域の意識を変革し、相互の信頼関係を培え

-学校側と地域側、それぞれの意識変革はどのように成し遂げられたか-

先入観の恐ろしさを知ろう

地域が持っている学校への悪しき先入観(学校は閉鎖的・隠蔽体質・だめ教師など)、学校が持っている地域への悪しき先入観(地域はクレーマー・非協力的・無関心など)を払拭しましょう。

そのためには、学校運営協議会・連絡会など公的な会合だけでなく折に触れて校長先生と話し合う機会を作ること、様々な地域側との懇親会・飲み会など面倒くさがらずに行うことが肝要です。

現場の先生方との交流こそ大切

校長・副校長と理解、合意ができても一般の先生方の地域に対する警戒感・不信感はなかなか払拭できません。
学習支援ボランティア制度の立ち上げ、実践、反省などを通じて地域側の教育力、謙虚さ、学校支援の情熱などわかってもらうことが必要です。

通常、先生方は地域の人に授業を見られること、批評されることを嫌がります。地域の人がどんな人で何を考えているか解らないからです。
地域の人と話し合い、皆が自分の教師としての成長を心から願っていることを知ると、自ら積極的に授業を公開したり、授業に地域の力を借りることが可能になります。

地域側も、先生方の情熱や理想を知ると、本当にその先生を公私共にバックアップしたくなるものです。

また、学校運営協議会などで、地域から提案される様々な「学校改革案」も提案者の顔や、考え方が現場が先生方に理解されていることは極めて大事です。

学校支援活動は、最低3~5年継続させること

様々な失敗や誤解、試行錯誤を通じて相互理解や相互信頼は養われて行きますが、意識変革にはどうしても時間がかかります。
5年頑張って継続してください。

5年経つと幸か不幸か学校の校長・副校長・先生方は人事異動で大幅にかわります。
学校を継続的に存続・成長させていくのは、先生方だけの責任ではなく、実は地域側の責任ではないのか?ということに双方が徐々に気付きます。

学校の成長や子どもたちの教育には、永年その地域に生活する地域住民と、その学校にずっと居るわけではないけれど、常に新しい血を送り込んでくれる先生方とのコラボレーションが必要であることを心から実感します。


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秘訣2  人材を確保し人材ネットワークを構築せよ

-地域の人材をどのようにして夢育のとりくみにまきこんでゆくか-

授業の支援(SA・CT)にかかわれる人材の確保

先生と一緒に授業に入るため、昼間活動可能な人(主に主婦・シニア・地域の経営者・学生など)に限られますが、少しでも子どもたちのために活動したいという気持ちのある人には、保護者・地域関係なく、どんどん登録をしてもらいましょう。

そして、学校が必要と考える支援内容に応じてもらえる地元企業やNPOなどにも、関わりを広げていくことです。
三鷹四小でも、初めは保護者の中にボランティアを求めましたが、その後学校の求めに応じ、地域の企業やNPOが関わるようになり、その中から意識の高い、情熱のある人々が現れ、積極的にリードしてきました。
そして全市的な協力や、HP等で見た学生たちが馳せ参じて来ました。

まずは一歩、歩き始めることです。

学校支援に必要な2タイプの人材

  • Aタイプ 
    その小学校区に住み、その学校に本人も子どもも孫も通い、したがって強い愛着と感謝の念があり、その学校を私たちの学校と思えるタイプの市民
  • Bタイプ 
    特定の学校には拘らないが、今の小学生に教えたい、伝えたい、何かがあり(例えば竹トンボ工作、百人一首、囲碁将棋、書道、華道、スピーチ等)、その種の特技・技術・情熱があるタイプの市民。

Aタイプの方々が、基本的には学校運営協議会や、特定の学校の支援体制のメンバーの中核となります。
特別な技能を必要としない学習支援(SAなど)にも、このタイプの方々の活躍が期待されます。

Bタイプの方々は、各学校の組織と常に連絡を取り、或いは依頼を受けて全ての学校で活動します。
コミュニティ・ティーチャー(ゲスト・ティーチャー)、イベント系の支援はこのタイプの人々が担います。

その両方の人財を確保するためには、市民の様々な団体、教育委員会などの行政組織、商工会議所などの経営者団体、シルバー人材センターのようなシニア団体、特技を持った各種NPO団体、学校ごとの地域こどもクラブなどと快適なネットワークを構築する必要があります。


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秘訣3  学校と地域・保護者をつなぐコーディネーター役「事務局」を設置しよう

-まず、どこから仕組みを整えてゆけばよいか-

コーディネーターの必要性

志あるボランティアが大勢集まっても、彼らを組織し、学校と連絡を取り合う人がいなければ、せっかくの熱意も無駄に終わってしまいます。

例えば職場訪問や職業体験を例に取りましょう。

学校側は、地域の企業や職業人をあまり知らない(実際に受け入れ先を見つけるのに大変な苦労をします)。
地域の企業は、学校が職場訪問・職場体験先を求めていることを知らない(受け入れる気があっても、どこにコンタクトすればよいかを知らない)。

そのマッチング作業を円滑に行うためには、地域の動きや人脈に熟知し、さらに学校のニーズも把握できる人が必要です。

事務局体制のメリット

多くの学校では、学校(教員)やPTA役員がコーディネーターの役割を担っているのが現状ではないでしょうか?
もともと、大きな仕事を担っている先生やPTA役員がさらに学習支援活動のコーディネートを背負うのは負担が大きく、その活動を広く地域に広げていくにはさまざまな壁にぶつかるはずです。

三鷹四小でも当初は学校(主に副校長先生)やPTAが担っていたコーディネートの役割ですが、夢育支援ネットワーク発足とともに、その役割は「事務局」が担うことになりました。

事務局を設置している夢育支援ネットワークの体制と以前の体制のメリット/デメリットを比較してみましょう。

コーディネーターメリットデメリット
学校(教員)





・直接依頼をするのでボランティアを募集する側の希望をより正確に伝えることが出来る



・学校(教員)の負担が大きい

・ボランティア側(多くは保護者)が担任の先生の依頼を断りにくい

・人脈が少ない
PTA役員・委員






・学校(教員)側の負担が軽減する

・保護者同士が顔見知りなので安心




・担当委員・役員の負担が大きい

・ボランティアのメンバーが特定のクラス・学年に偏ってしまう

・ボランティアが保護者に限られてしまいがち
事務局







・会員登録を義務付けることにより安定的なボランティアの供給が可能

・保護者/元保護者/地域住民等、多様な担い手の開拓が可能

・当該学校内に事務局を設置することにより、学校側との連絡がスムーズに


事務局を置く、ということの最大の目的は、ボランティアの担い手である保護者や地域の有志と、ボランティアの受け入れ側である学校(先生方)との間を取り持つということに尽きるでしょう。

それは、ボランティアの依頼を受ける→情報を発信し人を集める、という手続き的な意味もありますが、それだけでなく、担い手/受け入れ側双方が持っている不安を解消し、隔たりを無くすというケア的な意味もあります。
学習支援にかかわる全ての人が気持ちよく子どもの学習の現場を共有するために、非常に大切な役割であると同時に、それなりの責任とノウハウの必要な役割でもあります。

結局、実際にボランティアにかかわる側の人間がコーディネート、橋渡しの役割を担うのは大きな負担感を生んでしまうことになり、それが、ボランティアから手を引いてしまう、あるいはボランティアを活用した授業それ自体を諦めてしまうという結果を引き起こしかねないのです。

また、特定のクラスの保護者のみが、わが子のためだけにボランティアをする、というのは夢育支援ネットワークの理念-地域の大人が地域の子どもに支援をしよう-とは大きくかけ離れているともいえます。

そのようなデメリットを改善するために考案されたのが、“事務局”体制であり、現在までに至ります。
事務局体制をとることに伴い、ボランティアは全て夢育支援ネットワークに会員登録をすることを前提として、会員にのみボランティア情報を配信するという方法へと移行しました。

事務局設置にあたって① ~事務局構成メンバー~

現在、夢育支援ネットワークが三鷹四小に設置している事務局は、現役保護者と保護者OB・
OG、地域の有志で構成されています。
現役保護者だけで構成されていないところがポイントといえるでしょう。

現役保護者の役割は自分の子どもを通じて学校あるいは他の保護者のリアルタイムの情報、
ニーズ、あるいは苦情を手に入れるということにあります。

一方、元保護者の役割は、当該学校に子どもを通わせていた経験を生かすことが出来ることに加え、現役保護者ではどうしても遠慮が先にたってしまうことも、そういう損得勘定なく学校と交渉することが出来るということがメリットとして挙げられます。
これは些細なことのように思われるでしょうが、実際には非常に効果のあることと思われます。

さらに、地域人材を活用することによって、ボランティアの人脈が広がり、情報網の広がり等も見込めます。
もちろんそのためには、日常から周辺地域に対してSAを初めとした学習支援ボランティア制度についての情報を公開するなど、「開かれた学校」をアピールする必要があるでしょう。

事務局設置にあたって② ~場所~

現在、三鷹四小の事務局は三鷹四小の職員室に隣接する空き教室に設置されています。
事務局の場所に関しては、出来るだけボランティア現場である学校の近隣-出来れば校内-に設置することが望ましいといえます。
その理由は、ボランティア募集依頼やボランティアメンバー募集の情報、あるいはボランティアを活用する授業の急な変更等の情報をリアルタイムで得ることが出来るということにあります。

これは事務局側のメリットというだけでなく、学校側にとっても、何かトラブルが生じた際や相談等があった場合、すぐにでも事務局メンバーと連絡を取ることが出来るという大きな利点といえるのではないでしょうか。

空き教室の利用に関しては各学校でさまざまな条件があると思われますので、学校側と綿密な話し合いの上、検討する必要があるでしょう。  


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秘訣4  学習支援活動をするにあたり、コンセプトを明確にせよ

-学習支援活動のためのルールとは-

学習支援活動のコンセプト

夢育支援ネットワークの活動の理念は、多くの地域の大人がさまざまに関わる中で、子どもたちが心身ともに健やかに育つように、学校(教員)-保護者・地域(大人)-子どもの懸け橋になることにほかなりません。

その手段として、授業や放課後の居場所作りに関わる学習支援ボランティア活動を展開しています。
そのボランティア活動を続けるためには、理念に揺るぎがないことはもちろん、具体的なルール作りが必要です。

秘訣5  事業を運営・管理するために必要な資金を確保せよ

-経済的な裏付けの必要性-

NPO法人としては、事業の運営・管理をするに必要な経済面を、どのようにカバーするかが必須の課題といえます。

ボランティアであるとはいえ、経費は発生することは他のNPO法人と変わりはありません。
事務用品費、交通費、通信費、会議費などの必要経費のほか、とりわけネットワークを活用するなど人員を多数必要とする学習支援ボランティア制度を運営するための事務局員の事務処理対応には弁償が必要と考えています。
これらは具体的には以下のように対応しています。

資金の確保について

  • 個人、団体有志からの寄付金の受け入れ
    会員(事務局スタッフ、理事)が夢育支援ネットワークに関する講演等を行った際の報酬や、執筆御礼報酬の何割かを、会員の意思により寄付していただきます。
    また、賛助いただける団体などよりその都度寄付金を受け入れています。
  • 法人等の支援金の受け入れ
    当NPO団体の事業に対して、法人よりの支援金や、物品の支援をうけることがあります。
    例えばパソコン等の機器の斡旋を受け安価で入手することができます。
  • 法人団体の助成金の申請、応募
    公募される助成金情報を入手し、該当する案件に対して申請します。
    しかし、教育分野の案件はあるものの、審査は厳しく簡単には受からないのが現状です。

事務局の経費管理について

  • 現在主たる事務を行う場所(スタッフルーム)が、公立学校内であるので、賃貸料、光熱費は発生していません
  • 印刷物は学校の用紙等は使えず、印刷機のインク代等はカウント数に応じて負担しています。
    このような状況から、事務用品費として、用紙、筆記具、ファイル類などは経費が発生します。
  • 対外的に広報関係でパンフレット作成にかかわるデザイン、印刷代が発生、インターネットで発信するに伴うドメイン料金やメンテナンス費用がある。
    これらは、広告宣伝費として処理します。
  • 交通費、宣伝費は夢育支援ネットワークの活動に伴い発生するものを支払います。
  • 専用の携帯電話を外部受付用として所有しています。
  • 会議室は必要に応じて茶菓の提供をしますが、一人当たりは僅少です。
  • 事務局スタッフについては、1回の出動に対し定額500円を弁償費用として提供しています。時間は計量していませんが平均3時間前後です。
  • 人件費、また理事など役員報酬は一切発生しません。

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